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2005年 01月 03日
○ 「活動や実践としての科学」と「世界観としての科学」
私は科学者でもなければ、工学者でも、技術者でも、哲学者でもありません。一介の市井のオッサンです。科学の研究活動や実践をしたこともなければ、ンナだいそれたコトができるツーわけでもありません。私が興味のある「科学」っていうのは、「活動や実践としての科学」ではありません。世界をどうやって研究しようかとか、どうやって解明しようかとかではありません。それがどうやって研究されているのか、どうやって解明されているのか、ナンテことでもありません。 コペルニクスがどんな形而上学に基づいて、太陽中心説を発想したのか、ケプラーがどんな哲学的信条に基づいて研究して、数学的な法則を確立したのか、そんなコターどうでもいいとは言いませんが、少なくとも最重要な関心事ではありません。まあ、芸術家がどんな思いで創作活動をしているのか、サッーカー選手が何を考えて練習や試合をしているのか、・・・ナンカと比べれば、興味がないってわけではありませんが。 世界ってどんなもんナンだろうな? これが私の主要な関心事です。私が興味のある「科学」っていうのは、「世界観としての科学」です。私のやっていることは、すでに科学や科学者が出した結果を生半可に勉強して、それを、アーデモナイ、コーデモナイ、とひねくり回しているだけのことです。科学の実践活動は、その結果として世界観としての科学に貢献しているのなら、それがどんな発想から生まれていようと、とりあえず構いません。結果を出すためのアプローチの仕方、その際の形而上学的な観念や、観想による発想、思弁や直感が問題なのではなく、結果として出た世界観のほうが私にはタイセツなんです。 ○ 「技術としての科学」と「世界観としての科学」 一般に「科学技術」という言葉が使われていますが、「科学」と「技術」とでは、その原理が違うのではないかと思います。つまり、世界観としての科学と、役に立つ技術としての科学の違いです。 「世界観としての科学」とは、世界や宇宙の様々な現象の原理を理解することです。宇宙はどのように成り立っているか、世界がどのようなものであるかを理解することが、この場合の科学です。そして、それが直接なんの役に立つのかと聞かれても、答えようのないものです。しいて言えば、ただ知るために知る、というだけです。これが世界観としての科学です。 一方「技術としての科学」とは、何らかの目的やこうしたいということがあって、それを実現するためのものです。人がやりたいこと、予測したいこと、実現したいこと、・・・に役に立つものが技術です。こういうことに役に立つのだという、目的があります。役に立たなければ技術ではありません。 この二つ(科学と技術)は、相互に密接に関連していますが、本質的・原理的には違うものだと私は思っています。技術は役に立つものですが、科学はそれ自体で何か実用に直接役立つものではありません。技術が目的志向のもので役に立ち、役に立つかどうかが問題であるところ、世界観はそれ自体の目的以外の目的がなく、それがなんの役に立つかと聞かれても、答えようがないようなものだ、ということです。 人に役立つ技術には、科学的な理解や知識を前提としたものもありますが、必ずしもそうではない技術もありえます。原理は分からないままでも、何とか試行錯誤をして、経験的に目的を達成する方法を見つけることはできます。原理はよく分からないけれども、とりあえずこうやってみたらこのように効いた、というような経験の集積によっても、役に立つ技術にはなりえます。もし役に立つ結果が出せればいい、実用になればいい、というのであれば、そういう実践は科学的な世界観がなくてもできるし、非科学的な世界観を持っていてもできるのではないか、と思います。いわゆる匠の技、職人芸というようなものは、科学的な世界観とは無関係な技術としてありうるのではないか、と思います。 また、世界がこのようなものであるという原理が分かっても、それを直ちに技術として活用できるとは限りません。何らかの技術として利用するためには、多くの場合、原理以外のなんらかのものが必要になるものと思われます。 世界観としての科学は、必ず何かに役に立つとは限りません。例えば、宇宙論が人類に何らかの実際上の利益を直接もたらすかといえば、そうは言えないと思います。物質の究極の構成要素やミクロの基本法則を知ることは、必ずしも生活の向上に役立つとは限りません。私は、実用上は何の役にも立たないとしても、「世界観としての科学」に関心があります。私の考える「世界観」は、何かに直接役立つということが必要とされないものです。世界観と技術というこの区別は、科学か科学ではないかということとは別のものです。世界観にも科学的なものと非科学的なものがあり、役に立つ技術にも科学的なものと科学的ではないものがあるでしょう。 実際に役に立つものかどうか、個別具体的な場合に現象を計算し、予測し、見通せるかどうか、は私の着目点ではありません。私がここで意図し、課題としているのは、そういうことではありません。以上の意味での実効性や予言能力があるかどうかということは、ここでの重要なポイントではありません。それができれば望ましいとは思いますが、そうでなければ世界観ではない、というふうには考えておりません。科学が個別具体的な場面で実際には役に立たないものであるとしても、世界を理解することができれば、私にとっては世界観として充分です。「世界はこのようなものである」ということが充分に分かれば、それが私にとっての「世界観」です。それ以上のことを私は世界観に求めてはおりません。 私が意図し、目指しているのもは、「世界はどのようなものであるか」を理解することです。科学の知識や方法や理論を使って、何か役に立つ予測をし、具体的局面で人間が望むことを実現し、何らかの人間の問題を解決すること、ではありません。何のためにそれをするのか、それがなんの役に立つのか、と聞かれたも、ただ知りたいから、知る必要があると思うから、という以上の答えを出せないものがあります。目的が何かと聞かれても、最終的には具体的に答えようのないものです。ただ知ることだけを目的とし、それ以上のことを目的とはしないものです。
by nbsakurai
| 2005-01-03 08:59
| 『科学的世界観』のBlog
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Comments(4)
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from 学術系ブログの情報サイト
at 2005-07-12 14:46
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whitefullmoon at 2005-01-23 20:15
nbさんは菅原浩さんの書かれた「魂のロゴス」読まれた事ありますか?
「世界ってなんだ?」ということに興味をお持ちであれば是非一読される事をお勧めします。
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nbsakurai at 2005-01-24 18:57
『魂のロゴス』― 宇宙と叡智をめぐる対話 菅原 浩 アルテ
amazonでレビューや目次をみる限り、トンデモの印象を私は拭えませんでした。カスタマーレビューが五つ星4つというのもすごいなと思いましたし、それらの方がレビューされている本の分野も、なんかソッチ系のような感じが私にはしました。 が、なんかおもしろそうですし、私の発想とはだいぶ違うというかまったく逆のものようですが、そこがまたいいかもと思ったりします。自分にはない新しい発想を何か得られそうな期待感もいだきました。「阿頼耶識と“イデー”」なんてのもあるようですし。 それで、読んでみることにしてさっそく注文しました。 読むまでには時間がかかるかもしれませんが、読み終わったら感想を、何かは書いてみたいと思っています。 whitefullmoon さん、ありがとうございます。 ちなみに、あわせて注文したのは、 『哲学の冒険』 ―「マトリックス」でデカルトが解る マーク・ローランズ 筒井 康隆、石塚 あおい 集英社インターナショナル
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nbsakurai at 2005-02-20 23:04
『魂のロゴス』を、ちょっと遅くなりましたが、一読しました。
このコメント欄では、文字数制限内に収まりそうもないので、読後感は「科学的世界観の掲示板」の方で、述べさせていただくことにしました。 ←左の ★ 科学的世界観の掲示板 http://www2.spline.tv/bbs/nbsakurai/
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Galactose
at 2005-04-29 14:46
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本筋とは関係ないようですが、「コペルニクスがどんな形而上学に基づいて、太陽中心説を発想したのか」については、簡単に憶測できます。
当時の天動説では、惑星の運動を周転円に基づいて説明していましたが、その周転円は全て同位相で回転し、大きさは基本円との比率さえ同じなら任意で良かったのです。 つまり、基本円の大きさを調整すれば、全惑星の周転円は全部同サイズ, 同位相で回転していることになります。そして、見えるもの全部が同じ運動をしている場合、最も簡単な解釈は「自分が動いてる」です。
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