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2004年 09月 22日
>心を持つロボットを作ってよいか
これは、科学では原理的に答え得ない、主体的な価値判断の問題ですから、『科学的世界観』はずっと背景に退き、それにあまりこだわらずに、肩の力を抜いて答えることができます。 まず私の答えですが、よくないでも、どっちでも良いでも、やむを得ないでもなく、作ってよい、作ったほうが良い、です。 私は、この世界をよく知りたいと思っています。現在の科学では分からないことがたくさんあります。特に人間の心(mori0309 さんの主張される心とは違うようです)は、ほとんど何も分かっていないと言ってもいいかと思います。心を持つ機械を作ることは、世界の理解に資すること大だと思っています。 ついでですが、ヒト科の生物が一種しか生存していないのも、私にはたいへん残念なことです。ヒト属の他のメンバーである、ネアンデルタール人、ホモ・エレクトス、ホモ・ハビルスなどが絶滅せずにどこかで生存していたら、あるいは、ヒト属ではなくとも、ヒト科であるアウストラロピテクス属の一種でも生存していたら、と思ってしまいます。(あるいは、われわれの祖先が絶滅させてしまったのかもしれません。)それよりももっと系統の遠い、チンパンジーやゴリラしか生存していないのは、たいへん残念に思います。肝心なところで、痒いところに手が届くような比較研究ができません。 mori0309 さんと私が大きく違うところは、いのちやこころの実在に私がそれほど深い思い入れを持っていない、というところのようです。 >いまはまだ、脳のメカニズムも、心の正体が何であるかも、ほとんど究明されておらず、したがって心を持つロボットを作るというのは、はるかかなたの夢のまた夢の物語です。 そうとも言えますが、私はアイボは既に心を持ったロボットではないか、とも考えているわけです。 もっとも、一時はAIは時間の問題と考えられていたこともあった(そのように言っていた人もいた)ようですが、とてもそんなものではないようです。人レベルの心は、おっしゃるとおり、夢のまた夢のようです。 >だから現実的な議論がわき起こりません。 私は、そうではなく、議論がわき起こらないのは、ロボットは人とは違うということが当然の前提になっているので、何も問題とは思わない、ということではないかと思います。 >けれど、実際、未来のある日、それが実現できそうになったとき、きっと、おそらく、議会かどこかで「ロボットを作ってはいけない」という法律が作られるだろうと思います。間違いないなくそうなると私は思います。 それはどうかな、と私は思います。 >だって「クローン人間」でさえ、生命倫理に反するということで、許可されないのですから。 クローン人間については、数ヶ月前にあるボードで「人クローンと人間の尊厳」と題して議論したことがありますが、私の考えは、serpent-owl さんが最初に「クローン人間、どうしまひょ?」で述べられていることと、ほとんど同じです。表現の仕方まで自分と同じ部分もあり、ちょっと驚いたくらいです。 人クローンは、それが人間だから社会的に問題になるのだと思います。心を持っても、ロボットは人間ではないので、そこがクローン人間とは違います。「心」を持った「物」というのはちょっと逆説的ですが、心を持っても、ロボットはやはり人ではない物として扱われるのではないか、と思います。 >ロボットが心を持ったら、たいへんなことになります。壊れたからといってゴミ処分できない。いったん生まれさせたロボットを壊せなくなる。捨てられなくなる。人権ならぬロボット権が、やかましく主張されるでしょう。基本的ロボット権、生存権、居住権、市民権、選挙権、○○○権、□□□権、・・・、難しいことがウンカのごとく噴出してくる。 私は、必ずしもそうはならないと思います。 通常は、犬や猫、馬や猿にも心はあると思われています。しかし、心があるからといって、法律上の権利が認められているわけではありません。基本的犬権や、猫権はありません。ハエや蚊やゴキブリなどは、ただ嫌われるだけです。 現在の法律上、法的な権利の主体は人に限られています。ロボットは法律上人ではありませんから、人に所有される物として扱われるでしょう。せいぜい、動物愛護法のような、ロボット愛護法ができる程度かもしれません。 法律は、基本的に仲間内での取り決めのようなものであり、仲間と認めないものには権利も認めない、という構造のものではないかと思います。これは動物やロボットに限らず、かつては奴隷、非人、異邦人、未来の(?)宇宙人についても同様だと思います。 法律上の人の定義にある種のロボットを含めるか、何らかの手続きによりロボットに法律上の人格(法人格)を認めるか、というのは、法律的・政治的な論争になることはあるかもしれませんが、おっしゃるような、たいへんなことになるとは私は思えません。 >さらにロボット技術が進んで、ロボットがロボットを作り、ロボットのほうが人間より優秀になってしまったら、ロボットが社会を作って人間を支配するようになります。もちろん「奴隷支配」なんかじゃないです。人間より優秀になってしまったロボットがそんな、どこかの非近代的王朝国家みたいなことをするはずがない。もっと文明的に高度な社会を作る。人間は、頭が弱くて、すぐ喧嘩したり、犯罪を犯したり、戦争をしたりする困った生き物なので、優しく「管理支配」されてしまう。文化文明の主体は、完全にロボット社会に移ります。 ほとんどSFの世界のように、私には思えます。 仮にそうなったとした場合でも、それが必ず悪いことだとは思いません。それがどのような状況なのか想像がつかないので、にわかに判断はできませんが、もしかすると、それは人の進化の一つの未来の形なのかもしれません。 いずれにしても、現時点で議論して、結論を出せるような問題ではないと思います。 >でも、「クローン人間を造ってはいけない」とか「心を持つロボットを作ってはいけない」とか、そう考える人間の心理は、「将来、法律的にやっかいなことになるから」とか「人間が逆支配されたら困るから」とか、そういうことからくるものじゃないですね。 >やっぱり、いのちやこころを、人為的に造ったり、壊したり(殺したり)するものじゃない、というのは、何か、かなり、本源的なものがありますね。 そのような気も多少はします。 でも、やはり、私には本源的なものには思えません。 できちゃった結婚というのもあるようですが、そうではない場合、人は現在でも、いのちやこころを人為的に造ったり、造らなかったりを普通にしています。(少子化が問題になるのは、人がこれを人為的にやっているから、という部分もあるようです。)もっと人為的な、不妊治療のようなものも、それほど特殊なものではなくなっているようです。最近では、政府が法律を作って、不妊治療を推進しようという話まであります(私はどうかと思いますが。)
by nbsakurai
| 2004-09-22 09:58
| エリア3 (ロボットの心)
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