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2008年 07月 20日
私の『科学的世界観』に書かれている宇宙論は、単に不十分なもであるというだけではなく、現時点から見れば明らかな誤りを含むものであり、最新の宇宙論の実際を反映したものとはまったくなっておりません。もしもできるものであれば全面的に書き直したいところではありますが、現在の私にはそれだけの意欲もパワーも出てきたりはしません。
最新の成果を基にした何か簡潔な宇宙論の解説書が出ないだろうかと思っていたところ、今回、その期待に応えられると思われる本が見つかったので、せめてものこととして紹介しておきたいと思います。 以下に、「はじめに」からの抜粋を掲載します。 この本ではその第1部の「宇宙の創生そして未来」において、宇宙の創生から現在に至る宇宙の進化、さらに宇宙の未来について、今日までに描き出されてきた宇宙像が簡潔に述べられています。これで、最新宇宙論の全体をざっと概観することが十分にできるでしょう。さらに、現時点でどこまでがどのくらい確かなことして言えるのか、宇宙論のどこからが未だ検証されていない単なる仮説にすぎないものなのか、いまだ謎として残されているのはどういうことか、そういう全体の感じも掴むことができるものと思います。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 『宇宙はこうして誕生した』 佐藤 勝彦 ウェッジ選書 16 私たちの往むこの世界には、始まりがあったのてしょうか? もし始まりがあったなら、それはどのように始まったというのでしょう? 始まりの前はどうなっていたのでしょうか? 私たちの往んでいる世界、つまり、あらゆる物質的存在をすべて含む宇宙の始まりについての疑問は、人類の歴史が始まった頃から神学や哲学の課題として問われてきたものです。 (中略) 今日、私たちは二十世紀の爆発的な物理学の進歩と宇宙の観測技術の進歩によって、これらの問いかけに対して、科学的に答えることができる時代になりました。「私たちの往む宇宙は”無”から生まれた。無から生まれたミクロの宇宙は、インフレーションと呼ばれる急激な膨張によって、私たちが住むことのできるようなマクロ宇宙になった。インフレーション中に仕込まれた物質の凸凹が成長し、銀河や星が生まれ、私たち人類の存在をも含む、多様で美しい現在の宇宙が造られた」 この宇宙創生と進化のシナリオは、かつてはアインシユダインの相対性理論や、ミクロの世界を支配している量子論などによって描き出された理論でしたが、二十世紀末からハイテクを駆使した宇宙の観測によって、大きく裏付けられるようになってきました。 (中略) 今、宇宙の誕生から現在に至る進化のようすが、過去の宇宙の写真が撮られることによって描き出される時代となっているのです。その中でも究極のすばらしい観測は、米国NASAの宇宙背景放射観測衛星、COBE(コービと読む)によるものです。1992年、COBEは宇宙が生まれてまだ30万年しかたっていない宇宙の姿を描き出しました。そこには現在の銀河や銀河団など、宇宙の構造物になる種(たね)、物質の凸凹がはっきりと観測されました。2003年2月、COBE衛星の後継機であるWMAPは、さらに細かなこの始まった頃の宇宙地図を描き出したのです。そのデータの解析から、宇宙の年齢を137±2億年と測定するなど、大きな成果を挙げました。COBE衛星やWMAP衛星の観測結果はほとんどすべて、インフレーション理論を含む現在の標準理論と見事に一致するものでした。私がインンフレーション理論など宇宙初期の研究を始めた20数年前にはなかったような観測の進歩です。嬉しいことに、いまや宇宙論の研究は観測主導の時代となってしまいました。 しかし同時に、観測が進めば従来の理論を支持するものばかりではなく、新たな謎も生まれてきます。現在生じている最も大きな謎は、私たちの宇宙を構成している物質・エ不ルギーの96%が正体不明であるということです。宇宙の構造や進化は理論と見事に一致しているにもかかわらず、実は宇宙を構成している物質のほとんどは暗黒物質、暗黒エ不ルギーという正体不明のものであることが明らかになってきました。私は、この新たな謎が生じたことを喜ばなければならないと思います。科学は矛盾や謎を解くことによって進みます。これらの謎は二十一世紀宇宙論への鍵といえるでしょう。
by nbsakurai
| 2008-07-20 05:11
| エリア1 (科学の周辺)
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Tracked
from 哲学はなぜ間違うのか?
at 2008-07-20 21:23
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