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2006年 12月 02日
『意識の探求』―― 神経科学からのアプローチ (上) (下)
クリストフ・コッホ 土谷 尚嗣 金井 良太 岩波書店 この本は、確かに標題のとおり、神経科学からのアプローチによる、「意識の探求」についての本である。 ただし、意識の探求と言っても、感情とか、意思とか、意図とか、自由意志とかいうような、ある意味で哲学的な?問題は、扱われてはいない。扱われているのはただ知覚のみであり、そのなかでもほとんど視覚のみ、というきわめて限定されたごく狭い領域である。 神経科学についての、実に面倒で、細々とした、ごく専門的な内容が、延々と書かれている。素人が安易な気持ちで、簡単に手を出せるような内容のものではない。残念なことに、通読が私にはできなかった。 で、その探求の結果、意識について何が分かったのかというと、そういうことはほとんど何も書かれていない、と言ってもそれほど間違いではないだろう。この本は、意識の科学的研究の成果を、一般の部外者向けに整理して述べた、というような本ではない。 この本はその筋の専門家に向けて、今後、意識を探求するに当たって、どんな姿勢で、どんな戦略でもって、どんな作業仮説のもとに研究を進めるべきかという、意識の科学的研究活動についての著者の宣言、マニフェストなのであった。 科学的な世界観という視点で、意識というものをどう考えるかという観点からみると、残念なことには、内容的に得るものはほとんどなかった、ということになる。もし何かあるとすれば、それは次のようなことであろう。 意識というものについて、現在のところ、科学的には何も分かっていないし、何が分かっていないのかもよく分からっていない。何をどう分かればいいのかも分からない。問いの立て方すらも、実はよく分かっていない。 この本に述べられている具体的な研究戦略が、考えうる他の戦略と比べてどれほど妥当なものなのかは、私には判断のつけようもない。でも、現状を考えると、まずは著者のように禁欲的、自制的な態度で研究を始めようというのは、妥当なものとしてうなずけるところがある。 研究はまだ始まったばかりである。こういう地道な研究をこれからズーッと続けていただくことによってしか、意識の解明なんか望みようがないのであろうとは思われた。残念だけどこれはしょうがない。というか、これがマットウな態度というもんなんだろうと思う。無責任な部外のヤジウマとしては、ぜひとも頑張っていただくしかない。 意識や脳に関する事実を集大成した決定版! 意識にからむあらゆる仮説を論評した決定版! 哲学、脳科学、心理学、さらには物理、計算機も含め、これまでの意識研究のすべてを精査・評価し、独自の見解を明快に述べた労作。 クオリアや自由意志など、さまざまな意識に関するキーワードの意味を知るガイドとしても役立つ。 これ↑が帯の謳い文句なんだけど、これではちょっと誇大かな? なお、サンプルとして ・ フランシス・クリックによる序文 http://www.emotion.caltech.edu/~naotsu/crick.pdf ・ まえがき http://www.emotion.caltech.edu/~naotsu/prefaceKoch.pdf ・ 訳者まえがき http://www.emotion.caltech.edu/~naotsu/preface.pdf ・ 目 次 http://emotion.caltech.edu/~naotsu/Site/TOC.html ・ 第1章 意識研究入門 http://www.emotion.caltech.edu/~naotsu/QFC1.pdf ・ 第20章 インタビュー http://www.emotion.caltech.edu/~naotsu/QFC20.pdf が、訳者のホームページ http://emotion.caltech.edu/~naotsu/Site/Translation.html で見られる。(サンプルなので、図や注は入っていません。実際の本は縦書きで、字句も多少異なっています。)
by nbsakurai
| 2006-12-02 19:22
| エリア6 (生物学的発想)
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