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2006年 07月 02日
『考える脳 考えるコンピュータ』
ジェフ・ホーキンス サンドラ・ブレイクスリー 伊藤文英 ランダムハウス講談社 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4270000600/503-7596531-4364769 P14 脳は膨大な量の記憶を使い、現実世界のモデルを形成している。人間のあらゆる知識と認識は、このモデルの中に蓄えられている。脳は記憶にもとづくモデルを使い、将来の出来事を絶え間なく予測する。未来を予測する能力こそが知能の本質だ。 P75 森羅万象の知識は、すべてパターンにもとづくモデルだ。この世界が本物だと、自信を持って断言できるのか? (中略) わたしはべつに、人々や物体が本物ではないというつもりはない。どちらも間違いなく実在している。しかし、世界が実在するという確信は、パターンの一貫性と、それを解釈する方法にもとづいている。直接の認識というものは存在しない。(中略) 世界の認識はこれらのパターンから形成されたもので、ほかの何物でもない。存在は事実かもしれないが、脳の中では、軸索の束から流れ込んでくる空間的、時間的なパターンしか、頼れるものはない。 P76 パターンをとおして、新皮質は実物に類似したモデルを構築し、さらに重要なことに、それを記憶に蓄える。記憶とは、パターンが新皮質に入ったあとの姿だ。 P82 新皮質は並列のコンピュータでも、それ以外のいかなるコンピュータでもない。問題の答えを計算するかわりに、蓄えた記憶を使って問題を解き、行動を起こす。コンピュータにも記憶があり、ハードディスクやメモリーチップに蓄えられる。だが、新皮質とコンピュータの記憶には、次の四つの根本的な違いがある。 ・ 新皮質はパターンのシーケンスを記憶する。 ・ 新皮質はパターンを自己連想的に呼び戻す。 ・ 新皮質はパターンを普遍の表現で記憶する。 ・ 新皮質はパターンを階層的に記憶する。 P110 脳は現実世界のモデルを構築し、それが正しいことを絶えず確かめている。現在どこにいて、何をしているかがわかるのは、このモデルが妥当なものであるからだ。 P111 知能の高さは、現実世界のパターンを記憶し、予測する能力によって測定される。その対象には、言語、数学、物体の物理的な性質、社会情勢なども含まれる。脳は外界からパターンを受けとり、記憶として蓄えることで、過去の経験と現在の事象を組みあわせて予測を立てるのだ。 P134 あらゆる感覚にまたがる協調的な予測が、現実世界に対して絶え間なくたてられている。ありふれた感覚のすべてに意識を集中させてみると、感覚の予測がいかに完全に統合されているかがわかり、驚かされる。それらの予測は単純で平凡なものに思えるかもしれないが、あらゆる場合におこなわれることと、新皮質の階層を上下するパターンの大規模な協調だけから生み出されていることは、心にとどめておいてほしい。 P135 すべての予測が経験によって学習されたものであることも指摘しておく。ペンの金具のパチンという音を現在も将来も予測できるのは、過去にその音を聞いたからだ。自転車を車庫から出すときの姿、音、感触が予測できるのも、過去の奮闘のたまものだ。人間は生まれたとき、これらの知識を何も持ちあわせていない。新皮質が信じられないほど多くのパターンを記憶できるおかげで、だんだんと学習されたものなのだ。脳に流れ込む入力に一貫したパターンさえあれば、やがて新皮質はそれを使って将来の出来事を予測するようになる。 P139 現実世界のことを考えられるのも、その中を動きまわれるのも、未来のことが予測できるのも、新皮質の中に現実世界のモデルがあるからだ。この本が提示する最も重要な概念の一つは、新皮質の階層構造によって、現実世界の階層構造が記憶できることにある。森羅万象の入れ子構造は、新皮質の入れ子構造に反映される。 P143 予測できるということは、まさに実在することの証拠になる。視線を変えたり、指でいじったりといった一連の身体の動きによって、入力パターンを確実かつ予測どおりに変えられるとき、あるいは、歌や話し言葉を構成する音のように、つぎの瞬間のパターンを正確に予測できるとき、脳はそのパターンに因果関係があるものと解釈する。おびただしい数の入力パターンが、単なる偶然によって何度も同じ関係を満たす可能性は皆無に等しい。パターンのシーケンスが予測できれば、それは現実に存在するさらに大きな対象の一部に違いない。予測がいつもあたるなら、それは別個の出来事ではなく、現実世界で実際に結びついているはずだ。あらゆる顔には両目、両耳、口、鼻がある。脳が片目を見つけたとき、視線を動かすともう一つの目が見つかり、もう一度動かすと口が見つかったなら、安心して顔を見ていると判断できる。 P205 後天的な要因は、個人の経験の違いだ。新皮質に形成されている現実世界のモデルや記憶は、人によって違うため、類推や予測の結果が変わる。(中略) 社会生活、語学の学習、駆け引きなどにおいて創造性に差が出るのは、育った環境の影響が大きい。人間の予測、すなわち才能は、経験の上に成立っている。 P205 先天的な要因は、脳の生体的な特徴のばらつきにある。領野の大きさや大脳半球の左右差といったように、たしかに遺伝的に決まる違いが存在する。 #
by nbsakurai
| 2006-07-02 13:32
| エリア5 (様々な発想)
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2006年 06月 04日
『人類が知っていることすべての短い歴史』
ビル・ブライソン 楡井 浩一 日本放送出版協会 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4140811013/qid%3D1149346657/250-6198529-6987404 「ガリレオの指」はかなり難解な部類の本であったが、この本はその逆で、かなり手軽に楽しく読めるという類の本である。宇宙の起源から人のあり方まで、さまざまな科学の歴史や成果をおもしろく抽出して、科学全般についての堅苦しくない読み物になっている。これで、科学についてのある種の教養を身に付けることができるものと思う。内容的にも、科学の表面をなぞっただけというようなものではない。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ P18 本書は、その過程――とりわけ、全く無の状態から、何ものかが存在するようになり、その何ものかのほんの一部が私たちへと至る過程と、その間の出来事――を記したものだ。それは当然ながら、膨大な事柄を網羅すべき作業であり、だから本書には、A Sort History of Nearly Everything(ほとんどすべてのことに関する短い歴史)という題名がついているが、内容はそれにはほど遠い。”ほとんどすべてのこと”など、語れるわけがない。それでも、うまくいけば、本書を読み終えるころには、それに近い感慨を味わえることだろう。 P21 科学の不思議と精華を、専門的になりすぎず、かといって上っ面をかするだけではないレベルで、理解し、かつ堪能し、大いなる感動を、そしてできれば快楽を、味わうことが果たして可能かどうか、試してみたかったのだ。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 序章によると、以上が本書が書かれた趣旨のようであり、ある意味でそれは私の意図に似ていなくもない。 ただ、できあがったものは、科学の歴史におけるさまざまなエピソードや科学の様々な現状を、次々とできるかぎり平易に興味深いものとして示したものである。確かに、知的なエンターテイメントとして大いに成功しているのではないかと思われるものの、全体の整理とか総合とか秩序とか統一とかからは、かなり遠いという感じのものである。それは読後にかなり混沌とした感触を私に残すもので、全体としてはどちらかと言うと雑学に近いもののように感じられる。科学の現状とはそういうものだということであれば、それはそうにはちがいないのだろうが。 少なくとも私が求めるような世界観というものとは、この本は違った方向のもののようだ。 #
by nbsakurai
| 2006-06-04 00:11
| エリア1 (科学の周辺)
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